<参議院選挙アピール>

参議院選挙で、原発推進とキッパリ手を切り、
“原発ゼロ”“自然エネルギー推進”の国会をつくろう

2013年7月4日
原発ゼロの会・大阪

 原子力規制委員会の「新規制基準」が7月8日から施行され、施行とともに電力各社が原発の再稼動をいっせいに申請する動きになっています。原発をめぐる情勢は重大な局面を迎え、そうした中で参議院選挙がたたかわれます。選挙の結果が、日本の原発政策に大きな影響を与えることは間違いありません。

原発の再稼動と海外輸出を進める自民党と安倍自民・公明政権

 自民党と安倍自民・公明政権は原発について、国内的には重要な電力資源と位置づけて早期の再稼動方針を掲げ、また、世界に対しては経済成長戦略の一環として原発を輸出しようとトップセールを積極的に推し進めています。

 福島第1原発の事故では、今も15万人もの人が故郷を追われ避難生活を強いられ、故郷は立ち入り禁止、農業も漁業も産業も手が着けられないという深刻な事態が続いています。原発事故の真相も放射線量が高すぎて中に入れず、今日に至るも炉心損傷の実態もつかめていない状態です。最近では、原発周辺の岸壁近くの地下水でストロンチウムやトリチウムの濃度が上昇し始めるなど、“収束”とはほど遠い実態です。そんな中での原発の再稼動や輸出などとんでもない話です。

 原発はいったん苛酷事故を起こせば取り返しのつかない、住民の生活と産業、自然に甚大な被害を及ぼします。加えて原発は、原発の稼動によって生まれる放射性廃棄物の問題を抱えています。その受け皿として進められた高速増殖炉“もんじゅ”、あるいは青森県六ヶ所村の再処理工場はいずれも事故続きで稼動できず、“核燃料サイクル”構想は完全に破綻しています。プルトニウムは貯まる一方で、しかも毒性も強く、半減期も長いため、既に貯まったものでも今後何十万年も管理しなければならないというとんでもないことになっています。

 さらに、プルトニウムは原子爆弾の材料にもなるもので、既に日本の原発で作られたプルトニウムの総量は44トンを超えており、長崎型原爆の約5千発分にもなっています。

 こんな危険で致命的欠陥をもつ原発を再稼動させたり、海外に輸出するなどということは許されないことであり、先ず自民党と安倍自民・公明政権の原発推進、再稼動、海外輸出政策にキッパリと審判を下そうではありませんか。

財界とアメリカの圧力に屈服した民主党。大飯原発の再稼動を容認した橋下氏

 民主党が政権を握っていた昨年9月、政府のエネルギー・環境戦略会議は「革新的エネルギー・環境戦略」をまとめました。その内容には、核燃料サイクル構想を取り続けているなどの問題点も含んでいましたが、当初案にあった“2030年には原発稼動をゼロにする”という方針が、日本経団連、経済同友会、日本商工会議所トップの猛反対とアメリカの圧力によって骨抜きにされ、閣議決定も見送られました。そして、早速、当時の枝野経済産業相は電源開発の大間原発(青森県)など3つの原発の建設継続を表明しました。2012年夏の“原発なしでも電力は足りた”という実績も踏まえ、“原発の再稼動反対”“原発は即時ゼロに”とした国民の願いに対し、裏切り行為とも言える民主党政権のこのような態度を私たちは決して忘れることができません。

 一方、日本維新の会共同代表でもある橋下大阪市長は、昨年の夏を前に関西電力が“原発の再稼動がなければ重大な電力不足が生じる”として大飯原発3・4号機の再稼動を要求し、当時の民主党・野田政権がそれを容認する態度を取っていたことを厳しく批判し、当初は「民主党政権を倒すしかない」とまで言い切っていました。ところが5月下旬には急速にトーンダウンし、結果、関西広域連合は「……限定的なものとして適切に判断されるよう強く求める」として大飯原発の再稼動を容認してしまいました。当初「安全性が確認できなければ再稼働すべきでない」としていた関西広域連合のこうした態度変更の背景に、関西財界から「電力不足への懸念」と「再稼働への理解」を求められた橋下市長のトーンダウンがあったとマスコミは指摘しています。日本で唯一稼動している大飯原発の再稼動には、橋下氏のこうした態度変更があったことも忘れることができません。

“原発ゼロ”勢力の躍進で、原発ゼロ・自然エネルギーを推進する国会にしよう

 原子力規制委員会が決定した新規制基準は、苛酷事故が起こった場合に無くてはならない免震重要棟やフィルター付きベントも計画さえあれば5年間は猶予するとか、地震対策では原発直下の活断層も“露頭”(地表に露出している断層)のみを問題にし、露頭がなければ設置も認めるとか、運転期間は原則40年といいながらも「特別点検」を受ければ60年まで延長できるとか、抜け穴だらけの規制基準になっています。

 しかも原子炉の苛酷事故に対しては、これまでの“五重の壁”による安全に代わって、「深層防御の考え方」による対策を強調し、炉心損傷防止対策を幾重にも取るから原発は安全としていますが、結局は“もう少し対策を取れば原発は安全だ”という発想でしかありません。原発の事故は相変わらず原発の敷地内の問題にされ、苛酷事故が起こった場合の周辺住民の避難方針や防災対策は全くありません。まさに新“安全神話”に基づく“再稼動ありき”の規制基準です。

 いま求められることは、何よりも福島第1原発事故の徹底解明とともに、“廃炉”に向けた研究と実践に全力をあげることであり、東京電力の加害者としての責任と原発政策を推進してきた歴代政権の責任を明確にして、原発事故で故郷を追われ生活基盤を失った人たちへの被害補償と除染の徹底などで帰れるための環境づくりに総力をあげることです。

 いったん苛酷事故を起こせば人間の手に負えない事故に発展して甚大な被害をもたらす原発。その稼動によって生成する放射性廃棄物は処理方法がないだけでなく、既に貯まったものを今後何十万年も管理し続けなければならない根本的な問題を抱える原発。さらに生成されるプルトニウムはいつでも原子爆弾の原料に転用される危険性を持つ原発。こんな原発とはいま直ぐ手を切って、自然エネルギー・再生可能エネルギーの推進、省エネ・低エネルギー社会の実現に向うことをキッパリ政治決断すべき時です。

 “原発ゼロ”勢力の躍進、原発ゼロ・自然エネルギー推進、そして、何よりも平和憲法を守る点で首尾一貫している政党と議員を大量に国会に送り出し、原発推進の国会から、原発ゼロ・自然エネルギー推進の国会につくり変えようではありませんか。

以上

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