福島第1原発の汚染水漏れに対する抜本的な対策と
国の総力を挙げた取り組みを要求する

2013年9月11日
原発ゼロの会・大阪

 福島第1原発での“汚染水漏れ”問題と安倍首相がオリンピック招致演説で行った原発事故の現状に関する発言について、わたしたちの「見解」を示します。

(1)

 福島第1原発の“汚染水漏れ”は、収束するどころかますます酷くなっており、深刻な事態を迎えています。漁民の操業見通しはまったく立たなくなっているだけでなく、一部の国で東北地方の水産物の輸入禁止措置が取られるなど国際問題にも発展しています。もはや東京電力(以下「東電」)任せにした汚染水対策は限界を超えています。

 わたしたちは原発事故を起こし、事態をここまで深刻にしてきた東電の責任を厳しく問うものです。同時に具体的な対策を東電任せにしてきた国・政府の責任、原子力規制委員会の責任も厳しく問われなければならないと考えます。

 “汚染水漏れ”のこれ以上の悪化を食い止めるために、対策を東電任せにせずに、国・政府が責任を持って、国の総力を結集した対策を早期に実施することを要求します。

 特に、汚染水を地上タンクに貯めるやり方は、早晩量的にも限界に達し、地上タンクの腐食・経年劣化で遅かれ早かれ破綻することは明白です。日本と世界の英知を集めて、抜本的な対策を打ちたてることが急務になっていると考えます。

 また、福島第1原発の事故では未だに15万人もの人が避難生活を強いられ、事故の真相もまったく解明されていません。加えて事故の現場がこれだけ深刻な事態にあります。そんな中での原発の再稼動・海外輸出などはとんでもない話であり、即刻中止することを要求します。

(2)

 9月8日、ブエノスアイレスで国際オリンピック委員会の総会が開かれ、2020年の東京開催が決定されました。その総会のプレゼンテーションで安倍首相は福島の現状と汚染水問題について「(福島第1原発事故の)状況はコントロールされている」「汚染水による影響は、原発の港湾内で完全にブロックされている」と発言しましたが、これほど現状とかけ離れた妄言はなく、強い抗議の意を表明するものです。

 “汚染水漏れ”対策一つ取ってみてもコントロールできていると言える状態でないことは明らかです。港湾内の海水が潮の干満によって1日に50%も入れ替わると言われていることからすれば、“港湾内にブロックされている”などと到底言えるはずもありません。安倍首相の発言は、事故現場の実態を無視した“ごまかし”の内容です。

 オリンピックの開催を理由に、福島第1原発事故の対策を後回しにするとか、被災者たちを置き去りにするなどということは絶対に許されないことです。わたしたちは、安倍首相がこうした誤った現状認識を改めて、福島第1原発の事態を深刻に受け止め、対策を抜本的に強化することを要求します。

(3)

 安倍首相は、「抜本的解決に向けたプログラムを私が責任を持って決定し、すでに着手している」とも言いました。そうなっていないことは明らかです。しかし、この発言はもはや“国際公約”であり、安倍首相と国・政府は責任を持って推進すべきです。

 そして、抜本的解決というなら、先ず福島第1原発の事故対策に全力を傾注して事故の解決をはかることであり、そして、何よりも危険で、放射性廃棄物の処理方法がない原発は即時ゼロにし、エネルギー政策の基本を自然エネルギー推進の方向に大きく転換することを強く要求するものです。

以上

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