声明
避難計画もないのに川内原発の再稼動を認める
原子力規制委員会「審査書案」に抗議し、撤回を求めます。

2014年7月30日
原発ゼロの会・大阪

 原子力規制委員会は7月16日、九州電力・川内原子力発電所1・2号機の安全対策が「新規制基準に適合している」とする「審査書案」を了承しました。「審査書案」は①周辺自治体における住民の避難計画の整備は不十分、②火山対策・地震対策など過酷事故については過少評価、③使用済み核燃料=核のゴミ処理の問題など多くの課題についてまともな対応も出来ていないのに、事実上の再稼働の「合格証明書」を出すものであり断じて認めることはできません。そもそも原発は、規制委員会委員長自らが国会や会見で、規制基準を満たしたものでも「絶対に安全であることを意味しない」と繰り返し述べざるをえないものです。

 福島第1原発の事故から3年4ヶ月が経過しましたが、汚染水問題をはじめ収束どころか事故の原因、真相も解明されておらず、原発再稼働の審査が、到底、福島第一原発事故の教訓を反映できたものになるはずがありません。また、安倍政権と原子力規制委員会は、「新規制基準」について「世界最高水準」「世界一厳しい基準」などと繰り返しますが、「新規制基準」には、核燃料溶融時の対応設備や格納容器の強度、電源系統の独立性などの重要事項について、EU(欧州連合)の基準では実施されているものすら盛り込まれておらず、「世界最高水準」とは程遠いとものです。

 今回の「審査書案」でも、例えば津波については、到達する高さを約1メートル引き上げ、6メートルを想定したことで「規定に適合した」とか、火山については「運転期間中に大規模な噴火の可能性は小さい」とし、予知も不十分な火山噴火を過少に評価するなど、とにかく電力会社の意のままに“何が何でも再稼動”の結論で進められていると言わざるを得ません。これで「基準を満たした」などとして川内原発の再稼働を強行し、今後の“ひな型”とすることは決して許されません。

 福島第1原発事故は、ひとたび事故が起きれば被害が深刻であることを明らかにしました。本年5月の福井地裁は、県内外の住民が訴えた関西電力・大飯原発再稼動の差し止め訴訟に対して「人の生命を基礎とする人格権を越える価値を他に見出すことはできない」としたうえで、自然の前では人知には限界があり、「大飯原発の事故の可能性の想定は不十分」として住民側勝訴の判決を下しています。

 川内原発の周辺でも多くの住民が不安を感じ、5つの市議会が「拙速な再稼働に反対する」との意見書をあげるなど、鹿児島県内はもちろん、全国に「反対」の声が急速に広がっています。安倍政権と九州電力は、この世論を重く受けとめ、川内原発の再稼働を直ちに断念すべきです。同時に、私たちは今回の「審査書案」を了承した原子力規制委員会・原子力規制庁に対し断固とした抗議の意を表明するとともに、撤回を求めます。

以上

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