関西電力は高浜原発3,4号機運転差止仮処分への不服申し立て
を取り下げ、決定を厳粛に受け止め、再稼働の中止を求めます
2015年4月23日
原発ゼロの会・大阪
福井地裁は4月14日、住民が起こした関西電力高浜原発3・4号機の運転差し止め仮処分の申し立てを認める決定を下しました。決定は、昨年5月の大飯原発3・4号機の運転差止請求に対する判決同様に、原発の稼働に危惧と不安を抱く住民の声を真正面から受け止める画期的な判断です。しかも上告すれば失効してしまう本訴訟とは違って、決定が下されると同時に発効し、取り消されない限り有効と言う厳しい判決です。これに対して関西電力は、4月17日、到底承服できないとして不服申し立てを行い、「早期に仮処分命令を取り消していただくよう、高浜原発3、4号機の安全性の主張・立証に全力を尽くしてまいります」とのコメントを発表しています。これに対する私たちの「見解」を発表します。
十分合理的な根拠を持って下された福井地裁の運転差し止め仮処分決定
福井地裁は、今回の決定の理由として第1に基準地震動である700ガルを超える地震について取り上げ、原発に到来することが想定できる最大の地震動と言われる基準地震動では、全国で20カにも満たない原発のうち想定した地震動を超える地震が、この平成17年以降10年足らずの間に、4つの原発で5回にわたり到来している事実をあげて、同じ手法で基準地震動を算出している高浜原発の地震想定だけが「信頼に値するという根拠は見い出せない」と判断しています。
また、第2に700ガル未満の地震動についても、高浜原発は運転開始の地震動は370ガルであったところ、安全余裕があるとの理由で根本的な耐震補強工事がされないまま550ガルに引き上げられ、さらに新規制基準の実施を機に700ガルにまで引き上げられるという経過をたどっていることを示し、「原発の耐震安全性確保の基礎となるべき基準地震動の数値だけを引き上げる対応は社会的に許容できることではないし、債務者(=関西電力)の安全設計思想とも相容れない」と厳しく批判しています。
さらに決定は、関西電力が高浜原発と他の原発とでは地震発生に関する地域差があると主張していることに対し、世界の地震の1割が集中する日本ではそのような主張はほとんど意味を持たないとし、加えて使用済み核燃料がわが国の存続に関わるほどの被害をもたらす可能性があるにもかかわらず、それを補完する施設は全く不十分であることを指摘しています。
また、原子力規制委員会の新規制基準についても、原発の設備がこの基準に適合すれば深刻な災害を引き起こすおそれが万が一にもないと言えるような厳格な内容を備えているべきなのに、「緩やかすぎ、これに適合しても本件原発の安全性は確保されない」と批判しています。
いま関西電力に求められていることは決定を厳粛に受け止め、再稼働を止めること
決定はこうした理由をあげたうえで、最後に高浜原発3、4号機は「事故によって債権者(=訴えた住民)らは取り返しのつかない損害を被る恐れが生じる」とし、「高浜原発3号機および4号機の原子炉を運転してはならない」(主文)という決定を下しています。
決定は、このように十分根拠を持った合理的な判断に基づいて下されています。従って、いま関西電力に求められることは、この決定を厳粛に受け止め、不服申し立てなどせずに決定に従い、高浜原発や大飯原発の再稼働方針を中止することです。そして、脱原発の方針を明確にし、原発以外の発電や自然エネルギーの推進、省エネ・低エネルギー社会への転換を住民・府民、国民と一緒になってすすめることです。
私たちは関西電力に対し、高浜原発3、4号機運転差し止め仮処分への不服申し立てを取り下げ、決定を厳粛に受け止め、高浜・大飯原発の再稼働計画を中止することを要求します。
以上