2019年7月5日

大阪府環境農林水産部
エネルギー対策課 殿

大阪市環境局
環境施策部環境施策課 殿

原発をなくし、自然エネルギーを推進する
大阪連絡会(略称:原発ゼロの会・大阪)

目標を情勢に相応しいものに引き上げ、
自然エネルギーの取り組みを
抜本的に強化することを求める要望書

 大阪府と大阪市は、2014年3月に「おおさかエネルギー地産地消推進プラン」(以下「推進プラン」と略す)を策定し、毎年、総括とその年の方針となる「アクションプログラム」を策定して、自然エネルギー・再生可能エネルギーの推進に取り組んでいます。私たちは、自治体・行政がそうしたものを策定し、自然エネルギーの推進に取り組むことを歓迎し、評価するものです。

 大阪での自然エネルギー、再生可能エネルギーの取り組みを共に推進する立場から、この分野の課題に絞って要望書を提出しますので、ご検討宜しくお願いします。

(1) 自然エネルギー推進の目標の設定について

 「推進プラン」では、“2020年度までに150万kW以上の電力を創出する”との方針を掲げています。しかし、その年間電力量換算は約31億kWhであり、大阪の年間消費電力量(約600億kWh)の5%足らずです。これでは余りにも目標、志が低すぎます。横浜市では2050年までに市内で消費する電力を100%自然エネルギー・再生可能エネルギーでまかなうという方針を確認しています。大阪での取り組みを飛躍させるために以下の点を要望します。

  1. 電力の創出目標は年間消費電力量を母数に大幅に引き上げること。
  2. 2020年度以降の長期目標として、少なくとも2030年度までには年間消費電力量の30%以上、2050年度までに70~80%、そして21世紀後半の早い時期に100%にするとした野心的な目標を掲げること。
  3. 同時にこの目標は、いったん事故を起こせば取り返しのつかない災害をもたらす原子力発電、及び地球温暖化対策に逆行する石炭火力発電ではなく、自然エネルギー・再生可能エネルギーで進めることを明確にすること。
  4. 自然エネルギー・再生可能エネルギーの創出については、大阪府内だけでなく原発立地地域などでの自然エネルギー・再生可能エネルギーを活用し、脱原発を支援することも含めて広く考えること。

(2)自然エネルギーを推進に当たっての原則・理念の確立を

 今、メガソーラーや巨大風力発電の設置をめぐって、地域住民と設置事業者との間でトラブルになっている事例が各地で発生しています。私たちは、自然エネルギー・再生可能エネルギーなら何でもいいという立場ではなく、最低、“自然環境を破壊しないこと”“周辺住民に健康被害や災害をもたらさないこと”を前提に、以下の原則を掲げる推進すべきだと考えます。

  1. 地産地消型であること
  2. 小規模分散型であること
  3. 地域経済の活性化につながるものであること
  4. 市民・住民参加型であること

(3)大阪府・市の資源を全て活用するとともに、各市町村と連携した取り組みにすること

 大阪の自然エネルギー・再生可能エネルギーの比率を30%、50%に高める課題は、大阪府や大阪市だけの取り組みで達成することは不可能です。大阪府や大阪市の資源をフルに活用するとともに、少なくとも大阪の全自治体と連携した取り組みになるようにすること、さらに府民や企業も一緒になった自然エネルギー推進“運動”にまで高めることが重要です。そうした視点から、以下の点を要望します。

  1. 上水道の配水場での小水力発電、下水処理施設でのバイオ発電、ごみ焼却場での発電と熱利用は、出来るところは全て実施すること。
  2. 公共施設の屋根や壁面を使っての太陽光発電を積極的に進めるとともに、交通機関の施設やビルなどに対しても太陽光発電などに積極的に取り組むよう要請すること。
  3. 公園や広場、遊歩道などには、風力発電と太陽光発電とのハイブリッド方式による照明を積極的に取り入れること。
  4. 独立行政法人大阪産業技術研究所などに対して、大阪における木質バイオや食品バイオの推進、高効率の自家消費用蓄電装置の開発、地中熱利用などを研究テーマとして提起すること。
  5. 自然エネルギーを推進するための施策・制度については各市町村とも連携を図り、自然エネルギー・再生可能エネルギーの取り組みが大阪府の全自治体あげた取り組みになるようにすること。
  6. 自治体の電力契約先を「原発と石炭火力に頼らない電力」、新電力にシフトすることを呼びかけること。

(4)大阪府や大阪市の事業・施策について

 「推進プラン」で紹介されている大阪府と大阪市の自然エネルギー推進についての各事業・施策について、今回は以下の点を要望します。

  1. 住宅・ビルでの自然エネルギー対策、省エネ・エコ対策は新築時、増改築時がチャンスであり、「建築物の環境配慮制度」の住宅対策は、対象を広げるとともに担当者の増員含めて抜本的に強化すること。
  2. 府民共同発電補助事業を復活・継続すること⇒既に要望書を提出しているので、今回の要望書では省く。
  3. かつてあった「創エネ設備および省エネ機器設置等に係る初期費用軽減のための融資事業」は再評価し、太陽光や省エネ住宅などそれぞれの融資によって自然エネルギー、省エネ・エコの取り組みが府民の中に普及、定着するまで進めること。
  4. マンション住まいの人が多い都市部では、マンションのベランダでの太陽光発電の設置要望が強い。ベランダ発電の設置に対して一定の補助・助成を行うこと。
  5. 夢洲と咲洲のメガソーラーの事業主は住友商事や上海電力日本などの大企業になっている。住民参加、大阪経済の活性化という視点から事業主体を府民や在阪企業が参加するものに切り替えること。
  6. 大阪府・大阪市をはじめ各自治体の自然エネルギー部門を質的にも量的にも強化して、文字通り本腰を入れた取り組みになるようにすること。

(5)自然エネルギーの取り組みを一つの府民運動にするために

 ドイツでは既に全消費電力の40%以上を自然エネルギー・再生可能エネルギーで賄うまでになっています。また、アメリカのカルフォニア州では「2045年までに州内で使用される電力を100%自然エネルギーで賄うことを目ざす」という法律を成立させています。企業の中でもRE100と言って、自社で使う電力を100%再生可能エネルギーでまかなう取り組みが拡がっています。そうした到達点からすれば、日本は大きく遅れています。自然エネルギーを推進する一大府民運動が求められています。そうした視点から以下の点を要望します。

  1. そこに行けば太陽光発電や風力発電、小水力発電、バイオ発電など自然エネルギー・再エネ可能エネルギーの取り組みが実物や模型、パネル、映像などで、一目でわかる「資料館」のようなものを設置すること。
  2. 在阪の企業に対してRE100の運動やダイベストメントの取り組みを推奨すること。

以上