<「エネルギー基本計画」政府案に対する声明>
「原発」とはきっぱり手を切り、自然エネルギーこそベース電源にすべき
―「エネルギー基本計画」政府案に断固反対する―
2014年2月28日
原発ゼロの会・大阪
安倍政権は2月25日、原子力関係閣僚会議を開催して、新たな「エネルギー基本計画」の政府案を決定しました。「エネルギー基本計画」とは、国のエネルギーについての基本方針を示すもので、ほぼ3年に1回見直されてきていますが、直近の「基本計画」は福島第一原発の事故をきっかけに、曲がりなりにも“2030年代には原発ゼロ”との方針が掲げていました。しかし、今回、安倍政権が決定した「エネルギー基本計画」政府案は、この方向を180度転換し、再び日本を原発依存の社会にする「基本計画」になっています。
“脱原発”から再び原発推進のエネルギー政策に
政府案の具体的内容は、①原発を“重要なベースロード電源”と位置づけ、“安全性”が確認された原発は再稼働する、②核燃料の再処理・核燃料サイクルや高速増殖炉“もんじゅ”も推進する、③国が前面に立って高濃度放射性廃棄物の貯蔵能力を拡大する、④放射性廃棄物の“減容化”の研究にも取り組むなどです。一方、自然エネルギーについては、「導入を最大限加速する」と言いながら、コストがかかるとか供給が不安定とかの理由を並べ、ベース電源ではないエネルギーに位置づけています。
要するに、原発については“尻ぬぐいは全て国が責任を持つから従来通りすすめましょう。核燃料サイクルなどは見通しがなくても予算をつけますから大いにやりなさい”、一方、自然エネルギーについては言葉としては「最大限の加速」を使いますが、“そこそこにやりましょう”というものです。
「基本計画」は原発に際限なく税金を注ぎ込むもの
福島第1原発の事故から間もなく3年が経ちますが、福島第一原発の事故現場では汚染水漏れがますます広がり、深刻化しています。原発事故の原因も未解明です。何よりも避難生活を強いられている周辺住民の将来の見通しは全く立っていません。まさに「収束」とは程遠い実態にあります。また、各種の世論調査でも、国民の多くは原発の再稼働に反対し、“脱原発”の社会を求めています。
そんな情勢の下での今回の「エネルギー基本計画」案は、福島の現実を無視した、国民の願いに真っ向から挑戦する絶対許すことのできないものです。また、“核燃料サイクル”や高速増殖炉“もんじゅ”は既に破たんが明白であり、放射性廃棄物の“減容化”などは理論的にも不可能で、世界のどこの国も検討すらしていないものです。今回の「エネルギー基本計画」は、全く見通しのない原発に私たちの税金を際限なく注ぎ込み続ける「計画」であり、その面からも許されない内容です。
自然エネルギーこそ“ベース”に位置づけるべき電源
今、国のエネルギー政策に求められることは、膨大な潜在量と導入可能性を持つ自然エネルギー・再生可能エネルギーを“ベース”になる電源と位置づけ、その開発と推進に本腰を入れ、ベース電源にふさわしい規模に拡大することです。そして、火力発電はその熱効率を高め、CO2排出の少ないものに転換しながら、その出力調整が容易という特性を生かして“ピーク電源”に位置づけ、それらをミックスしながら活用することです。また、こうしたことが進むよう“発送電の分離”を行い、地域での自然エネルギーが大いに活用される制度を国を挙げてつくり上げることです。
“脱原発”と自然エネルギー推進を強く要求する
私たちは、原発依存の方向に再び舵を取る政府の「エネルギー基本計画」に断固反対します。
そして、「原発」とはきっぱり手を切り、自然エネルギー・再生可能エネルギーを“ベース”となる電源に位置づけ、その推進に本腰を入れる「エネルギー基本計画」の策定を強く要求します。
以上
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