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原発の稼働を固定化する経産省の「エネルギーミックス」の議論に反対する ~見習うべきは脱原発・自然エネルギー推進を決断したドイツや北欧諸国の経験~ [2015.4.24]

原発の稼働を固定化する経産省の「エネルギーミックス」の議論に反対する
~見習うべきは脱原発・自然エネルギー推進を決断したドイツや北欧諸国の経験~

2015年4月23日
原発ゼロの会・大阪

 報道によれば、経済産業省は、2030年の電源構成をどうするかという「エネルギーミックス」の議論を本格化させ、原子力・石炭火力・水力・地熱の4つをベースロード電源に位置づけ、それで全体の6割を賄うという方向で議論をすすめているといいます。

 この議論の進め方には大きな問題があります。いくつかを列挙します。

 第1は、この議論は、原発を再び基本電源に位置づけ、その稼働を続けるための大変恣意的な議論になっている問題です。何故なら、石炭火力・水力・地熱の発電量は現状では4割であり、原子力・石炭火力・水力・地熱の4つをベースロード電源に位置づけ、それで全体の6割を賄うという議論から出発すれば、当然、残る2割は原発に頼らざるを得ないということになるからです。昨年政府は、原発を重要なベースロード電源と位置付ける「エネルギー基本計画」を閣議決定し、将来も原発に一定の役割を担わせることに方針転換しましたが、正にその具体化が今回の議論です。

 第2は、この議論は、国民の要求と電力供給の現状を無視した議論です。国民の多くは福島第1原発を契機に“原発はいらない”という意識に大きく変わり、省エネ・低エネルギーの努力を始めています。経産省もこの夏の電力について、原発が動かなくても足りるとして節電の数値目標を示さないまでになっています。にもかかわらず原発の再稼働を誰が望んでいるかと言えば、それは電力会社と財界です。実際、原発依存度について電力業界は30%、経団連は25%、同友会は20%を要求しています。経済のためには何をやっても構わない、“後は野となれ山となり”と言った態度であり、絶対に許されません。

 第3は、「原子力・石炭火力・水力・地熱の4つで全体の6割をまかなう」という方針の根拠も間違っています。根拠として挙げているのは「欧米主要国の割合」ですが、例えばドイツは福島第一原発の事故を契機に脱原発を決断し、自然エネルギー推進に国を挙げて踏み出しています。イタリアやスイスも脱原発を明確にしています。北欧諸国は早くから自然エネルギーの推進に熱心に取り組んでいます。そんな実態を無視して“欧米主要国の割合”などと言うのは、国民だましの手法と言わざるを得ません。何よりも日本は、福島第一原発の事故と言う大変苦い経験をしたのであり、そこから出発してあの経験に真摯に向き合い、他国がどうであろうと自らの判断で脱原発を決断すべきです。

 第4に、石炭火力をベースロード電源に位置付けている時代錯誤の問題です。石炭火力はCO2を石油の約1.3倍、天然ガスの約2倍排出すると言われています。石炭火力は加えて水銀や鉛などの有害物質も排出します。報道によれば、現在全国で32基・1637万キロワットの石炭火力発電所の建設が計画され、年間のCO2排出量は7,100~8,900万トン増加し、日本全体の年間CO2排出量を5~6%押し上げると言われています。地球温暖化防止のためにも温室効果ガス・CO2の削減が強く求められている情勢に逆行する許されない行為です。火力発電を言うなら、石炭火力ではなく、LNGを使ったガスコンバインドシステムの発電所などCO2排出の少ない、熱効率の高い発電所にすべきです。

 以上みてきたように、現在進められている「エネルギーミックス」の議論は多くの問題を抱えています。

 私たちは、原発を重要なベースロード電源と位置づける『エネルギー基本計画』を改め、「エネルギーミックス」の議論が、脱原発・自然エネルギー推進を決断したうえで進められることを強く求めます。

以上

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