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原発ゼロの会・大阪の報告と提案・集いアピール [2012.10.12]

「発足1周年記念の集い」への報告と提案

原発ゼロの会・大阪 事務局

(1) 運動が大きく前進したこの1年間

<1> 昨年10月15日の発足の集いへの参加は300人だったのに対し、今回はこの大ホールに沢山の参加者が、また、12月17日に開催した「学習・交流会」での地域・団体の発表は5地域・団体だったのに対して今日は15近い地域・団体が登壇していることが端的に象徴しているように、原発ゼロ・自然エネルギー推進を目ざす私たちの取り組みはこの1年間、大きく前進してきました。

<2> この1年間の主の取り組みをあげると次のようなものがあります。

  • 12月17日「原発ゼロ・自然エネルギー推進大学習・交流集会(保険医協会MDホール・150人)
  • 1月25日「意見ポスター」第1号の発行
  • 3月11日「なくそう原発3・11府民1万人集会」(扇町公園・8000人)
  • 3月14日「ドイツの環境活動家エアハルト・シュルツ氏講演会」(ドーンセンター・170人)
  • 4月28日「大飯原発再稼働反対・関西電力包囲行動」(女神像前・600人)
  • 5月15日「缶バッジ」の作成(5000個)
  • 5月25日「淀屋橋宣伝・署名行動」(20人。チラシ300枚・署名35筆)
  • 6月16~17日「大飯・美浜原発とあわら風力発電見学ツアー」(22人)
  • 6月17日「大飯原発再稼動反対福井県民集会」(大阪から約80人)
  • 6月20日「電力不足問題での学習・討論会」(国労会館・102人)
  • 6月27日「関西電力株主総会での宣伝行動」(北区梅田芸術劇場・70人)
  • 7月16日「さよなら原発10万人集会」(東京・代々木公園。大阪から約500人)
  • 8月20~25日「ドイツの自然エネルギー・環境の取り組みを学ぶ見学ツアー」(7人)
  • 9月1日「意見ポスター」第2号の発行
  • 毎週金曜日に関西電力本社前で行われる抗議集会にも積極的に参加。イレブン行動も提起

<3> 署名運動では5月から福井県知事に対する「大飯原発の再稼動に反対する緊急要請署名」に取り組み福井県知事に連日送付(8000筆)、9月には大阪市会と府議会に対し「関西電力に対し大飯原発再稼動の中止・撤回を働きかけることを求める請願書」を提出(大阪市会178団体、大阪府議会189団体)、大阪府知事・大阪市長に対しては再稼動の中止・撤回の働きかけを関西電力と政府に対して行うよう求める要請書、関西電力社長に対しは「大飯原発3・4号機の即時停止と脱原発・自然エネルギー推進への抜本的転換を求める要請書」を提出しました。『原発のない社会を求める署名』は政府向け1820筆、大阪府向け1,465筆、大阪市向け1367筆、関電向け1635筆が集まり、既に大阪府と関西電力には要請書と一緒に提出しました。

<4> 12人の著名人と8つの団体の呼びかけで文字通りゼロから出発した原発ゼロの会・大阪(正式名称=原発をなくし、自然エネルギーを推進する大阪連絡会)は、現在、130の団体と1616人が会員として参加する組織となりました。会員の団体・個人を掲載した意見ポスターも2回発行しました。

<5> 原発ゼロの会・大阪は、関西電力のお膝元そして関西電力管内最大の電力消費県での“原発なくそう”の運動として、府下各地の運動はもとより福井や全国の運動とも連帯し、積極的な役割を発揮していることは確実です。このことに確信を持ってさらに大きく発展させましょう

<6> 自然エネルギーを推進する取り組みは、まだまだ見学・学習の段階にあり、地域での実践は正にこれからと言う到達点です。

(2) 原発をめぐる情勢

<1> “原発なくせ”の声は、全国でも大きく前進している

  • 昨年12月には全労連や民医連などが中心になって「原発をなくす全国連絡会」が結成され、全国各地域の運動の交流や原発ゼロを目指す様々な活動を開始しています。
  • 7月16日には、東京・代々木公園で「さよなら原発10万人集会」が開催され、10万をはるかに超える16万人が参加しました。
  • 毎週金曜日の官邸包囲の抗議行動は回を重ねるごとに参加人数が増え、数万から時には20万人にも達しています。こうした金曜日の行動は今や全国に広がっています。
  • 『エネルギー・環境に関する選択肢』に対するパブリックコメントでも8割を超える人が「原発ゼロ」を求めていることが明らかとなりました。

<2> “電力不足”問題でも決着がつきました

  • 今年の夏を前に関西電力と政府は、「大飯原発を再稼動しなければ重大な電力不足が生じ、計画停電を実施せざるを得ない」として、大飯原発3・4号機の再稼動を強行しました。
  • しかし実績は、関西電力の原発なしの供給力2,717万キロワット(『中日新聞』8月1日)に対し、最大需要は8月3日の2,681万キロワット、次ぎが7月27日の2,672万キロワットで、大飯原発の再稼動なしでも電力は十分足りたことを実証しました。
  • 関西電力の『今夏の電力需給見通し』は、原発なしの供給力を実績より150万キロワットも少なく、需要を300万キロワットも多く見積もり、もって“電力不足”が描き出していました。
  • 今年の夏、関西電力管内は日本で唯一原発を稼動させた地域となりましたが、同時に日本で一番原発依存度の高い地域でも、実際は原発なしでも電力は足りるということを実証する貢献をしました。

<3> 一方で原発推進勢力の巻き返しも強まっています

  • 政府の「エネルギー・環境戦略会議」がまとめた「革新的エネルギー・環境戦略」は、使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムを取り出す核燃料サイクルは続けるなど問題点が多々ありますが、当初の2030年には原発稼動をゼロにするという話が、日本経団連、経済同友会、日本商工会議所トップの猛反対とアメリカの圧力に屈し、「2030年代に原発稼動ゼロを可能にするよう、あらゆる政策資源を投入する」という骨抜きの方針となり、さらに閣議決定も見送られ参考文書に格下げされました。
  • 早速、枝野経済産業相は、電源開発の大間原発(青森県)、中国電力の島根原発3号機、東京電力の東通原発1号機(青森県)の建設継続を表明し、日本原子力学会は閣議決定見送りを歓迎する会長見解を出すなど、“原子力ムラ”がまたぞろ復活しつつあります。
  • 新たに環境省の外局として設置された原子力規制委員会の委員長には前の原子力委員会の委員長代理が任命され、委員会の事務局を担う原子力規制庁の幹部には原子力安全・保安院などの職員が横滑りするなど、またも原発推進の機関になりつつあります。原子力規制委員会・原子力規制庁は、原発問題で幾多のスクープをものにしてきた『しんぶん赤旗』を記者会見から排除しようとするなど、その隠蔽体質は一向に変わっていません。

<4> 原発政策を推進する関西電力の態度

※関西電力の原発に対する現時点の態度は以下の通りです(全労連近畿ブロックとの懇談で)   

  • 大飯原発3・4号機の稼動がなければ、電力供給は非常に厳しいものになっていた。気温の上昇や火力発電所の事故など不測の事態もあり得た。従って、再稼動は不可欠だった。
  • 原発に対する多種多様な世論があるが、エネルギー・セキュリティーや地球温暖化、コスト問題等々の理由で原発は必要。
  • 関西電力の使命は電力の安定供給である。原発ゼロと言う一部のアンケートの結果に従う必要はないと考えている。安全対策は打ってきており、11プラント全てを動かしたい。
  • 安全性が確認されたプラントから稼動させたいと考えている。
  • その態度は、福島原発事故から何一つ学ぼうとせず、また、『今夏の電力需給見通し』で府民を騙したことに何一つ反省せず、相変わらずの「安全神話」で原発政策を推進するものとなっています。

<5> 再生可能エネルギーの固定価格買取制度がスタートしました

  • 再生可能エネルギーの普及・拡大をめざすとして、2012年7月1日から「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が始まりました。太陽光=10kW以上42円、10kW未満42円、風力=20kW以上23.1円、20kW未満57.25円、水力=1千~3万kW25.2円、200~1千kW30.45円、200kW未満35.7円などとなっており、地熱、バイオマスについても買い取り価格が設定されました。
  • また、この制度の発足によって電力会社には、一定の価格・期間で、再生可能エネルギーでつくられた電気の買い取りが義務づけられました。
  • しかし、メガソーラーの場合は全量買い取りになっているのに対し、個人の家での発電は、発電量の全量が買い取られるのではなく、発電量からその家の使用電量を引いた分だけの買い取りになっており、設置者の売電収入は半減、それだけ設置マインドを減退させる問題を持っています。のた、固定価格買取制度によるコストを一般利用者の電気料金に賦課する制度になっている問題点も指摘されます。

(3) これからの府民運動

1)私たちの当面の基本要求

こうした情勢を受けて、私たちは当面次の2点を基本要求にして府民運動をすすめます。

<1> 大飯原発3・4号機の再稼動容認を撤回し即時停止すること。また、現在停止中の原発はいっさい再稼動せず、廃炉にすること。

<2> 脱原発・自然エネルギー推進を決断し、原発からの即時撤退と自然エネルギーへの政策転換を強力に推し進めること。

2)これからの取り組み

<1> 学習と宣伝・署名行動で世論を大きく高めよう

  • 学習は全ての運動の基礎です。原発の問題点や情勢、自然エネルギーの問題について、地域や団体で大いに学習し、それぞれの地域や団体の問題として“原発ゼロ”“自然エネルギー推進”が受け止められるようにしましょう。
  • 大飯原発の即時停止と原発ゼロへの決断を求めて別紙のような新しい国会請願署名に取組みます。第1次提出は11月ごろの適当な時期を考えています。この署名運動を柱にしながら、駅頭やターミナル、商店街で宣伝・署名の行動をいたるところで展開しましょう。(なお、原発ゼロの会・大阪が取り組んできた従来の署名は全て終了とします)
  • 毎週金曜日の関電本社前での抗議行動に積極的に参加しましょう。関電の支社や営業所前での抗議集会も積極的に企画しましょう。また、府民が気軽に参加できる“ご近所パレード”や集会・“ウォーク”、“デモ割り”など、それぞれ実情に合わせた企画を大いに工夫しましょう。

<2> 11月11日には全行政区で何らかの原発ゼロを目指す行動を展開しましょう

  • 11月11日には東京で、国会・首相官邸・永田町・霞ヶ関に向けた「11・11反原発100万人大占拠」行動が計画されています。積極的な参加とともに、各府県、地域で呼応する行動が呼びかけられています。
  • 原発ゼロの会・大阪としては、中之島の女神像前や剣先公園に予約が入っているため、梅田やナンバでの大宣伝・署名行動を検討しています。(但し、中之島で行動を企画している人たちとの共同の取り組みが出来るなら、そちらに合流します)
  • 各地域・行政区でも宣伝・署名行動、集会やデモ、パレードなど何らかの行動を計画し、大阪全体で空前の取り組みとなるよう頑張りましょう。

<3> 来年の3・11の準備を開始します。

  • 来年の3月11日は月曜日なので、1日前の3月10日に“2周年の集会”を開催します。今年の3・11集会の教訓を踏まえて、出来るだけ早くから準備し、「原発なくそう」の一点で幅広い府民が参加する集会を追求します。

<4> 地域での脱原発・自然エネルギー推進の取り組み

  • 原発ゼロの会・大阪が大阪府や大阪市に対して出した要請書などを参考にし、各自治体でも議会と行政に働きかけて、全自治体が脱原発を鮮明にし、自然エネルギーの推進に全力をあげる政策転換、例えば『脱原発・自然エネルギー推進のまち宣言』などの運動をすすめましょう。
  • それぞれの地域で自然エネルギーの見学会や視察を計画し(「近畿の自然エネルギーの取り組み」をご参照ください)、また、それぞれの地域の自然エネルギー資源についての検討会なども持ちながら、自然エネルギーの推進が一歩でも具体化する取り組みを進めましょう。

<5> 1千の団体・1万人の個人会員をめざし、会員増やしを大いに進めましょう

  • 1千の団体会員とは、事務所を持ち専従者を配置できる規模です。1万人の会員とは全行政区に100人から200人の会員がいる規模で、地域で原発をなくす運動をすすめるとともに、地域で自然エネルギーを推進する取り組みが展望できる規模です。みんなの力でぜひ実現しましょう。
  • 缶バッジの普及にもご協力をお願いします。
  • 添付ファイルを受けられるメールのアドレスを事務局にご連絡を下さい。
    また、住所が変わったら必ず事務局にお知らせください。

終わりに

 営利を目的にするのが企業の本質であるとしても、いかなる企業も自己の利潤・利益追求のために、国民の生命と安全、生活を犠牲にするなどということが許されるはずがありません。また、何の利益も生み出さない放射性廃棄物の管理を何万年、何十万年も後世の人たちにさせるなどと言う権利は何人にもありません。
私たちは、私たちの生活と安全を守るために、そして、子どもたちに“負の遺産”を残さず豊な未来を手渡すために、原発の即時廃止・自然エネルギーの推進を目ざし、一致団結して共に頑張りましょう。

以上

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集会アピール

 福島原発事故による放射能汚染の恐怖、ふるさとを追われて避難生活を送る住民の悔しさを我こととし、“原発なくせ”の声は全国に広がっています。
 福島原発事故の真相はまだ全く未解明です。原発の安全対策を先送りし、再稼働ありきの対応をすすめる政府、電力会社に、国民の怒りは増大しています。
 政府や関西電力の「原発なければ電力不足」の脅しも、この夏、原発の稼動なしでも電力は十分足りることが実証されました。
 原発は、いったん苛酷事故を起こせば制御できない大事故となります。
 使用済み核燃料は最終処理方法がありません。危険な放射性廃棄物を何万年、何十万年も、子どもや孫たちに管理させることは、絶対許されません。
 私たちは、次のことを要求します。

 1.関西電力の大飯原発3・4号機の再稼動容認を撤回し即時停止すること。また、現在停止中の原発はいっさい再稼動せず、廃炉にすること。

 2.脱原発・自然エネルギー推進を決断し、原発からの即時撤退と自然エネルギーへの政策転換を強力に推し進めること。

 府民のみなさん
 国民・府民の声は、「今すぐ原発ゼロの決断を」「自然エネルギーの推進を」です。
 その声をさらに大きくするために、毎週金曜日の関西電力本社や支社・営業所への抗議行動、地域での集会やご近所パレード、自然エネルギーの学習会や見学会など、様々な取り組みをすすめましょう。
 思想や信条の違いを乗り越え、全国の仲間と連帯し、脱原発・自然エネルギーへの転換をめざし、今こそ行動しましょう。
子どもたちに“負の遺産”を残さないために!

2012年10月7日

原発ゼロの会・大阪「発足1周年の集い」参加者一同

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