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大阪府・大阪市の自然エネ・再エネの取り組みの強化と改善を求める要望事項 [2021.10.4]

2021年9月30日

大阪府環境農林水産部
エネルギー対策課 殿

大阪市環境局
環境施策部環境施策課 殿

原発をなくし、自然エネルギーを推進する
大阪連絡会(略称:原発ゼロの会・大阪)
事務局長  庄 司  修

大阪府・大阪市の自然エネ・再エネの取り組みの
強化と改善を求める要望事項

 地球温暖化・気候変動問題は、日本国内だけでなく全世界で豪雨による大洪水などの水害を引き起こし、また、場所によっては大干ばつを引き起こし、大規模な森林火災を発生させています。さらにかつてない気温の上昇を引き起こし、森林や住宅地での火災の自然発生や熱中症による多数の死者を生み出しています。台風・ハリケーンも巨大化し、その被害は年々大きくなっています。地球温暖化対策、その要となる温室効果ガス・CO2の削減は、持続可能な地球環境を守っていくうえでも人類共通の喫緊の課題となっています。「パリ協定」の誠実な実行が求められています。

 一方、この議論に関わって、原発はCO2を出さないクリーンなエネルギーとして、再生可能エネルギー・自然エネルギーと一緒の“非化石”電源として同等視する議論もありますが、これはまったくの暴論です。原発事故は、放射能汚染という最悪の環境破壊を引き起こしますし、事故がなくても10万年も管理し続けなければならない核のゴミ(使用済み核燃料)を生み出します。

 いま求められるのは、脱原発・脱炭素社会であり、自然エネルギー・再生可能エネルギーの推進とエネルギーを無駄に使わない社会への転換です。

 そういう視点に立って、大阪府と大阪市がまとめた「おおさかスマートエネルギープラン」(以下「エネルギープラン」と略す)を中心に、私たちの要望をまとめ提出しますので、ご検討宜しくお願いします。

1.「エネルギープラン」の2030年目標は大幅に引き上げを

 大阪府のエネルギー創出の2030年度目標は、太陽光発電:141万kW、燃料電池:81万kW、廃棄物発電等:28万kWの合計250万kW以上となっています。もし、それぞれの施設の年間利用率を太陽光発電13%、燃料電池70%、廃棄物発電等70%とすれば、年間発電量は太陽光発電16億kWh、燃料電池50億kWh、廃棄物発電等17億kWh、合計83億kWh程度となり、大阪府民の年間電力消費量600億kWhの13%程度にとどまります。再エネ利用率の2030年目標35%の3分の1程度でしかありません。

 2050年カーボンニュートラルを実現するなら、2030年にはCO2を50~60%削減することが求められています。それは、ムダな電力消費の削減(省エネ)と再生可能エネルギーの普及・拡大で十分可能です。そのためにも大阪府の再エネ利用率を最低でも50%以上とし、それに見合う形で再エネ目標を大幅に引き上げるべきです。

2030年目標として、温室効果ガス・CO2の50~60%の削減、再エネ創出目標の大幅な引き上げ(他県からの購入も含めて3倍化)、そして、再エネ利用率を50%以上とするなど、目標を大幅に引き上げることを要望します。 

2.そのためにも府内に存在するエネルギー資源の全面的な活用を

 「エネルギープラン」の基本的スタンスは、府域の再生可能エネルギー導入ポテンシャルは電力需要量全体に比して小さく、また、その大半を太陽光発電が占めている、というものです。しかし、今後のエネルギー政策の基本となる、「創エネ」と「省エネ」の両面から考えていくと、大阪府や大阪市が府域・市域に存在するエネルギー資源を全面的に活用することが、必要な創エネにつながるだけでなく、府民の中での「省エネ」意識の醸成にもつながっていくことをみておく必要があります。創エネでの中途半端は、省エネでの中途半端にもつながります。

 従って、太陽光発電や風力発電、バイオ発電(木質バイオ、食品バイオ、畜産バイオ)、小水力発電など、府域・市域のあらゆるエネルギー資源を府民・市民と一体となって汲みつくすことが重要であり、また、地中熱や太陽熱利用、蓄電装置の活用など具体的に示していくことが大切です。そのことによって、再生可能エネルギーによる創エネも、また、無駄な電力消費をなくす省エネも成功すると考えます。

3.グリーンリカバリーの基本方向は大阪経済の活性化に

 ポストコロナの大阪の経済を活性化させていく基本に「グリーンリカバリー」の発想を取り入れることは大事です。即ち、再生可能エネルギーの創出や省エネ産業を基幹に据えて、大阪経済の内発的、循環型経済を構築し、そのことによって大阪経済を活性化していくことです。特に、大阪経済を担っている中小企業がグリーンリカバリーに携わり、経営が成り立つよう助成し育成していくことが大事であると考えます。

 しかし、現在の大阪府や大阪市のやり方は、大阪府域には“やれる企業”、“手を上げる企業”がないからとして、安直に府外や外国企業の提案を受け入れ、それに乗っかって進めるように見えます。例えば、大阪府関係では府民共同発電事業がエコスタイルと、最近では「太陽光パネル及び蓄電池の共同購入支援事業」がアイチューザー(株)と、また、大阪市関係では小中学校の太陽光発電屋根貸し事業がRNHソーラー西日本合同会社、柴田工業、ハンファQセルズジャパン、楽天の4社と協定を結んで進めているなど、地元大阪の企業を無視して進められている観があります。再生可能エネルギー・自然エネルギーの恩恵は、そこに住み暮らし、働く住民が享受すべきものであり、再生可能エネルギの推進・活用事業も、大阪府民の暮らしが豊かになり、大阪経済が活性化する方向に改めるべきであると考えます。

【大阪府に対して】

①一昨年4月にエコスタイルに委託した府民共同発電事業の進捗状況と中間総括、今後の方針について説明してください

②大阪府がアイチューザー社と協定を結んで進めている「太陽光発電及び蓄電池システムの共同購入支援事業」について、その経過と狙い、運用方式に等について説明してください。

【大阪市に対して】

①大阪市立の小中学校校舎の屋根を、企業に貸して進めた太陽光発電事業の進捗状況と大阪市としての収入を説明してください。加えて、企業4社(RNHソーラー西日本合同会社、柴田工業、ハンファQセルズジャパン、楽天)別に、それぞれの学校使用数及び発電容量についても説明してください。

4.「新電力」の育成について

 再生可能エネルギーによる電気を積極的に提供していこうという「新電力」について、「府市の率先行動を推進」「RE100や再エネ100宣言などに取り組む事業者とのマッチングによる支援」「府民や事業者が新電力を選択するための情報提供の推進」などの方針が打ち出されています。

 それぞれ大切なことであり、大いに進めていただきたいと考えますが、「新電力」にとって最大の問題は、昨年末から本年1月にかけて「卸電力取引所」制度のもとで発生した“電力逼迫時”に電力仕入価格が急騰し、場合によっては資金繰りが出来ずに倒産する会社も出たことです。今回の場合、通常1kWh10~13円程度の仕入価格が、最高時には250円にも高騰しました。国はその後、200円/kWhを上限とするとしましたが、これでは焼け石に水です。

 この問題を解決していかない限り、新電力に対する先ほどの方針も実行できないと思います。卸電力取引所制度の改善を国に働きかけて下さい。

5.環境・エネルギー資料館のようなものを

 「エネルギープラン」では、「エネルギー教育など、エネルギーに関する情報を積極的に提供し、家庭や学校、地域を通じて新しい取組を率先して行う地域づくりを推進」という方針を掲げています。こうした方針を可視化するためにも、ぜひ深刻化する地球環境問題、エネルギー創出の様々な取り組み、また、無駄にエネルギーを使わないライフスタイル、省エネの仕組みなどを展示する「環境・エネルギー資料館」のような施設の設置を検討してください。

6.改定施行された「地球温暖化対策推進に関する法律」による目標の設定について

 昨年6月に改定施行された「地球温暖化対策推進に関する法律」では、「再エネの利用促進」「事業者・住民の削減活動の促進」「地域環境の整備」「循環型社会の形成」の4点について、目標の策定を政令市・中核市については義務規定として、その他の市町村には努力目標として決定しています。この件について、

 大阪府として府内各市町村にどのような援助、働きかけをする予定ですか。そもそも大阪府としてどのような目標を設定しているかを説明してください。

 また、目標の策定が義務付けられて政令市・大阪市として、「再エネの利用促進」「事業者・住民の削減活動の促進」「地域環境の整備」「循環型社会の形成」の4点について、どんな目標を掲げたか説明してください。

7.「第6次エネルギー基本計画(素案)」と国への要望について

 7月に経産省資源エネルギー庁から発表された「第6次エネルギー基本計画(素案)」について、私たちは以下のような要望を提出しています。共感できる項目があれば、一緒になって国に働きかけていただくことを要望します。

①エネルギー基本計画は、国のあり方にかかわる重要な課題であり、経産省の考えを基に“学識経験者”の意見を聞いて、後は閣議決定で済ますという従来のやり方を改め、国民の意見を聞くとともに国会できっちり議論し、決定すること。

②エネルギーのあり方について、発電等によるエネルギーの創出、省エネ・効率化等によるエネルギー消費の削減とともに、無駄にエネルギーを消費しない社会への転換も大きな柱として位置づけること。

③もはや核燃料サイクル構想は完全に破綻しており、次期エネルギー基本計画では、核燃料サイクル構想や原発ベースロード電源論から完全に撤退し、原発はゼロにするエネルギー政策にすること。

④2050年カーボンニュートラルを実現するために、石炭火力発電所の建設計画は全て中止とし、現在ある石炭火力発電所も順次廃止する政策にすること。

⑤カーボンニュートラル、自然エネ・再エネ100%の日本を実現するために、自然エネ・再エネを主要な電源に位置づけ、2030年度までの再エネ普及目標を、50~60%のエネルギー計画にすること。

⑥自然エネルギー・再生可能エネルギーは、自然を破壊し、住民の安全と健康を脅かす巨大開発型を止めて、地産地消・小規模分散・住民参加型を原則にすすめることを盛り込むこと。

⑦送配電線網は、電力会社から完全に独立した事業体にし、国の責任で確立・維持すること。また、電力の融通が日本全土で迅速に出来るようにするため、地域間の送配電容量のアップ、さらには50Hz・60Hz問題の解消に取り組むこと。

⑧現在の「卸電力取引所」制度を改善すること(前述)。

⑨老朽原発や石炭火力発電所の維持費を新電力・市民電力などにも負担させる「容量市場」は廃止すること。

⑩今後増加が予想される太陽光パネル等の廃棄について早期にルールを確立すること。

以上

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