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福井地裁による関電・高浜原発「再稼働」容認決定に抗議すると共に、政府と関西電力に対し、あらためて原発ゼロへの方針転換を強く求めます。 [2015.12.25]

[声明]

福井地裁による関電・高浜原発「再稼働」容認決定に抗議すると共に、
政府と関西電力に対し、あらためて原発ゼロへの方針転換を強く求めます。

2015年12月25日   原発ゼロの会・大阪  事務局長 菅 義人

 関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の再稼働をめぐり、25日、福井地裁は運転差し止めの仮処分を取り消しました。福井地裁は4月に「新規制基準は合理性を欠く」として、原発から250キロ圏内の住民が申し立てた再稼働差し止めを認める決定をし、新規制基準の効力に根本的な疑問を投げかけていました。関電の不服申し立てを受けた福井地裁は、今回、その決定を180度覆したことになります。(なお同日、大飯原発3、4号機の差し止めを求めた住民らの仮処分申し立ても、却下しました。)

 立地する高浜町長と福井県知事は既に再稼働に同意しており、関電は25日にも燃料装填に着手し、1月からの運転を目指すとしています。

 この福井地裁の決定により、原発の安全性が保証されたわけでは決してありません。原発ゼロの会・大阪は、この不当決定に断固として抗議し、今回の決定に関わる問題点を指摘するものです。

①今回、裁判長は過酷事故の可能性を否定していません。しかし、原子力規制委員会の新規制基準に基づく判断に「不合理な点がない」とし、高浜原発3、4号機に「安全性に欠ける点があるとはいえない」と判断し、「人格権の侵害」も否定しています。福島原発事故の収束も、被害者の生活再建もままならない中で、まさに安倍政権に迎合した不当決定そのものです。

②高浜3、4号機には、事故対応の拠点となる免震重要棟が設置されていません。外部電源の確保策などにも不安を残しています。また安全は原発対策だけで事足りるわけではありません。高浜原発は半径30キロ圏に福井だけでなく京都府と滋賀県も含みます。「地元」の明確な規定も示されない中、実際に避難するのは立地県だけではなく、避難路の渋滞対策などの課題は山積したままです。大阪も決して他人ごとでは済まない問題です。住民の安全の置き去りは断じて許されません。

③関電は原発停止で火力燃料費がかさみ業績が悪化している、「経済的損失は、起動が1日遅れるにつき約6億円」と経済優先の立場を露わにしつつ、利益は電気料金引き下げなど利用者のためにと主張しています。しかしこれは、電力自由化で新電力に顧客を奪われまいという経営の都合そのものです。

④福井県知事が再稼働への同意を表明し、国に伝えたのは決定の3日前でした。決定を待たない司法軽視の態度は看過できないものです。また「県民の信頼を得られる判断をしたい」としながら住民説明会さえ開かず安倍政権に追随する姿勢は、住民の命を守る首長としてあまりに無責任と言わざるを得ません。

 なし崩し的に再稼働が進むことに、国民の多くが不安を抱えています。それらの不安や批判をよそに、再稼働に向けて既定路線のように手続きを積み上げ、安全よりも電力会社の経営を優先するなど言語道断です。国も福井県も関電も、急ぐべきは再稼働ではなく、原発ゼロへの道筋を描くことです。

 福井地裁の決定は、関電の対策が「新規制基準に適合する」という規制委員会の判断を「合理的」としただけです。安倍政権が「原子力規制委員会が適合と判断すれば再稼働を進める」とする一方、規制委員会が「新基準適合と安全はイコールではない」と言い続けるように、その判断は「安全」を保証するものではありません。

 裁判長は福島原発事故の教訓を踏まえ「絶対的安全性は存在しない」「過酷事故の可能性が全く否定されるものではない」と国や電力側に重層的な対策を求め、裁判所が原発の安全性を担保する立場にないことを示しています。再稼働を急ぐ安倍政権や行政、関電が、司法のお墨付きを得たかのごとく、さらに前のめりになることは断じて許されるものではありません。

 住民側は決定を不服として、年内に名古屋高裁金沢支部に保全抗告することとしてします。国民が心配するのは根拠の乏しい「安全神話」復活であり、それを阻止できるのは司法しかありません。

 私たち原発ゼロの会・大阪は、福井地裁による関電・高浜原発「再稼働」容認決定に抗議すると共に、政府と関西電力に対し、あらためて原発ゼロへの方針転換を強く求め、電力消費地の運動を、さらに強め、広げていく決意を表明するものです。

以上

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